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オパールは10月の誕生石のひとつで、「色の変化を見る」という意味を持つギリシャ語の「オパリオス」が名前の由来とされています。オパールはローマ時代から「幸運を招く宝石」として重宝され、イギリスのヴィクトリア女王がこよなく愛したとされる宝石です。
「色の変化を見る」という意味を持つ言葉が名前の由来となっている通り、オパールの最大の特徴は見る角度によって色合いが変化する遊色効果(プレイオブカラー)です。オパールに遊色効果が見られる理由は、オパールを構成する微粒子シリカが光の影響を受けることで、さまざまな色を放つため。遊色効果はオパールの価値を決めるうえで重要な要素となり、特に貴重とされているのが赤色の遊色です。
また、遊色効果の動きが大きいもの、動きのパターンが珍しいオパールほど価値があるとされています。
オパールのなかには遊色効果を持たないものもあり、それらのオパールは遊色効果を持つ「プレシャスオパール」とは別に、「コモンオパール」と呼ばれて区別されています。
ブラックオパールは不透明な黒から濃い灰色を地色としており、遊色効果によってオーロラのような独特の色彩の輝きを持っているのが特徴です。その多彩な色彩はひとつとして同じものはなく、そのなかでも赤色の遊色を多く含むものは特に希少価値が高いとされています。
鉄鉱石の隙間や亀裂に流れ込んで形成されるオパールで、ボルダーという名前には「岩の塊」という意味があり、母岩がついた状態でカットされるのが特徴です。オーストラリアで主に産出されることから、オーストラリアオパールとも呼ばれます。母岩とオパール部分が織りなす世界にひとつだけの形状と、鮮やかな色合いが魅力的な宝石です。
ファイヤーオパールは赤やオレンジ、黄色などの地色に、炎のようにきらめく遊色効果が見られる宝石です。ブラックオパールに次ぐ高級オパールとしても知られています。ファイヤーオパールのなかでも最も価値が高いとされているのは、炎のような赤色です。また、赤に近い色味の遊色効果がしっかりと見えているものほど価値が高くなります。
ウォーターオパールは遊色効果が大きく見られるプレシャスオパールの一種で、透明感のある地色が特徴的なオパールです。上部がドーム状になったカボションカットを施されるのが一般的で、石を傾けると虹色に変化する色彩を楽しむことができます。
地色が乳白色で、柔らかなやさしい色合いの遊色効果が魅力的なオパールです。オパールのなかでも産出量が最も多く、比較的リーズナブルな価格で市場に流通しています。宝石店で販売されているオパールの多くがホワイトオパールなことから、オパールと言えばホワイトオパールを連想する人も多いポピュラーな宝石です。
グリーンオパールは緑色の半透明な地色をしており、オパールでよく見られる遊色効果を持たないのが特徴です。外見が多結晶のクオーツの一種であるクリソプレーズに似ていることから、プレーズオパールまたはクリソパルとも呼ばれます。ミント色からアップルグリーンまで色合いが幅広く、ジュエリーとしても人気の高い宝石です。
オパールにおけるクラリティとは、透明度とインクルージョン(内包物)の有無のことです。オパールのクラリティには完全な透明から不透明まであり、オパールのタイプごとにクラリティのレベルが評価されます。たとえばブラックオパールの場合は不透明な地色が良いとされており、透明度が価値に影響しません。むしろ透明感があるものは色味が弱くなってしまうので、価値が下がる可能性すらあります。
ウォーターオパールやファイアオパールのような透明感のあるオパールの場合、透明度に加えて、遊色効果の色彩がどれだけ豊かで濃い色をしているかが評価のポイントになります。曇っていたり乳白色の地色をしていたりするオパールはせっかくの遊色効果が見えづらくなってしまうため、価値が下がってしまう要因です。
カット職人はオパールの色やパターン、クラリティを考慮しながら、宝石の仕上げを計画します。上質とされるオパールのカットは左右対称でなければならず、カボションカットの場合はきれいな丸みのあるドームに仕上げるのが望ましいとされています。なぜなら、ドーム型の表面にすることで優れた遊色効果を示せ、ほとんどの角度から石が鮮やかに見えるためです。
カット職人はなるべく多くの遊色効果を残すために、上質なオパールをあえて大きく不規則な形状にカットすることもあります。これらのユニークな形状のオパールは、カスタムジュエリーに使用されるとのこと。一方で、大量生産されるホワイトオパールや貼り合わせオパールの場合は、楕円形を中心とした標準的な規格サイズにカットされます。
オパールは他の宝石に比べて密度がかなり低いため、大きめのサイズのものでも快適に着用できるのが特徴です。ジュエリーにセットされるカボションカットのオパールの一般的なサイズは6×4mm、7×5mm、8×6mmですが、オパールのなかには重量998g、カラットに換算すると5,000カラット弱にも及ぶ大きなオパールも存在します。
このサイズのオパールはファイアオブオーストラリアと呼ばれ、カットされていないのが特徴。オパールのほとんどはオーストラリアで採掘されますが、なかでもファイアオブオーストラリアは発見される場所が数少ない希少なオパールです。