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こちらの記事では、トルマリンについて解説しています。どのような歴史や特徴を持つ石なのかといった点やその種類などをまとめていますので、トルマリンについて興味を持っている方はぜひチェックしてみてください。
「トルマリン」は10月の誕生石として知られる石です。色のバリエーションが非常に豊富で人気が高い宝石でもあります。1500年台のブラジルで初めて採掘されたといわれていますが、その色の多さから区別がつくにくく、エメラルドやサファイアなど別の宝石と同じ種類とされることもありました。その後の鉱物学の発展により、19世紀末になると正しく色の違いについても認識されるようになっています。
名前の由来には諸説ありますが、スリランカの言語であるシンハラ語で「混石宝石」という意味を持つ「トラマリニ」という言葉に由来しているともいわれています。またトルマリンの和名は、熱すると電気を帯びる性質を持つことから「電気石」とされています。
トルマリンの産出量が最も多いのはブラジルで、その他の主な原産地としてはアメリカやケニア、マダガスカル、モザンビーク、タンザニア、ロシアとなっています。産地ごとの特徴があるため、それぞれの地域で採掘されたトルマリンの色にはやや偏りがある点も特徴のひとつといえるでしょう。
トルマリンの中で価値が高いとされているのが「パライバトルマリン」と呼ばれる種類です。これは、1989年にブラジルのパライバ州・バターリャ鉱山で偶然発見されたことからこの名前が付けられています。
パライバトルマリンの特徴は、その独自の色合い。高濃度の銅とマンガンが生み出す鮮やかなネオンブルーが印象的であり、その希少性と美しさから世界3大希少石(レアストーン)のひとつと呼ばれています。宝石市場に登場した後、その美しさから人気となり、鉱山が掘り尽くされてしまったことから価値が上昇したともいわれています。
このパライバトルマリンは現在も稀に採掘される場合がありますが、その多くは色合いが薄いものです。人気のある蛍光性を持つ鮮やかなパライバトルマリンが採掘されるケースは非常に少ないために、今後も価値が上がっていくと予想されています。
「インディゴライト」は、深みがかかった青が特徴のトルマリンであり、パライバトルマリンの次に価値があるとされています。非常に美しい色を持つトルマリンで、青色が強いほど価値が高いとされます。
「ルベライト」は、ルビーのような鮮やかな赤色が特徴です。その名前の語源はラテン語で「赤い」という意味の「ルベウス(ルベリウス)」であり、美しい赤色を持つためにルビーの代用品として扱われていたこともあります。ただし、実際のルビーと比較すると、ルベライトの方がピンク色がやや強くなっています。
「ピンクトルマリン」は、ルベライトよりも薄い色合いの石です。マンガンの含有量が少なくなるとピンク色に近くなり、ピンクトルマリンと呼ばれますが、実際はルベライトとの違いは厳密には定義されていません。
また、ピンクトルマリンの中にも「ホットピンク」と呼ばれる濃いピンクを持つものから、茶色がかったピンクといったように多彩な色があります。
「グリーントルマリン」は、その名の通り鮮やかな緑色を持つトルマリンであり、エメラルドによく似ている点が特徴のひとつとなっています。グリーントルマリンの中にも、青色が入ったものや深い緑色のもの、黄緑色が入ったものなどさまざまな色味がありますが、その色味が深く鮮やかなものほど価値が高くなります。また、グリーントルマリンは「ヴェルデライト」という名前で呼ばれる場合もあります。
さらに、「トルマリンキャッツ」と呼ばれるキャッツ効果が見られるものもあり、キャッツ効果が入っていないものよりも価値が高いとされています。
「カナリートトルマリン」は、カナリアの羽を思わせる鮮やかで美しい黄色を持つトルマリンです。これは、ネオンカラーのようなビビットな黄色が特徴となっています。イエロートルマリンは、より強い蛍光色を持つもの、わずかに緑を帯びた色合いのものがカナリートトルマリンとされます。
「ブラックトルマリン」は、鉄分を含んでいることから黒く輝く点が特徴のトルマリンであり、「ショール」という別名を持っています。同じように黒い色が特徴であるオニキスとよく似ていますが、見た目での判断は難しいとされています。このブラックトルマリンは、パワーストーンとして人気が高い点も特徴です。
「ウォーターメロントルマリン」とは、まるでスイカのように石の中央がピンクになっており、その周りがグリーンという色を持ったものを指します。ここまでご紹介してきたように、トルマリンはさまざまな色を持つ石であるため、ウォーターメロントルマリンのように複数の色を持つ、個性的な見た目を持つものも見られます。
トルマリンの「クラリティ」は、透明度とインクルージョン(内包物)で評価されます。
トルマリンは、液体が豊富にある場所で成長することが多いという特徴を持っていますが、結晶が成長する過程において液体の一部がインクルージョンとして取り込まれるケースが多くあります。
トルマリンの中でも、ピンクやレッドのトルマリンの場合は目に見えるレベルのインクルージョンが入っていることも多く見られます。逆に、グリーントルマリンはピンクやレッドのトルマリンよりもインクルージョンが少ないとされています。そのため、インクルージョンが入っているものはその価値が下がる可能性もあります。
そのほかの色を持つトルマリンについても、インクルージョンがはっきり見えるほど価値が下がる傾向が見られます。このように、透明度が高くインクルージョンがほとんどないトルマリンは高額での取引が行われるケースが多くなります。
ただし、通常インクルージョンは欠点となりますが、面白い効果を生み出すインクルージョンもあります。「キャッツアイ・トルマリン」と呼ばれるものもそのひとつ。チューブ状に入ったインクルージョンにより、まるで猫の目のように光るという美しい効果を生み出します。
トルマリンをカットする際には、トルマリンの光学的な特性を考慮することが重要とされています。これは、トルマリンは「多色性」と呼ばれる性質を持っていることから、石を見る方向や角度によって色が違って見えるためです。さらに、結晶の横方向と比較すると縦方向に沿った形で光を強く吸収するといった特徴も持っています。この点から、横から見たときに淡い緑色に見える結晶を縦方向から見ると、暗い緑や黒色に見えるといったケースもあります。
以上から、トルマリンをカットする場合には、最終的に「石の顔」となる面に最も美しい色が見えるように、色の深さを考慮して石取りの方向を決めていきます。
原石から宝石をカットする場合には、まずはロスが少なくなるようにルースの形を検討し、さらにできるだけインクルージョンを避けてカットが可能となるように検討を行います。そして、石取りの方向を検討し、美しいルースに仕上げていく、ということになります。
トルマリンのサイズと重量に関しては、成形された石のサイズが大きければ大きいほど、カラットあたりの価格は上昇する、ということになります。また、同じような色・同じようなクラリティが成形されている石の場合は、5カラット以上になると、カラットあたりの価格が上昇することが一般的となっています。