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青紫の輝きが印象的な宝石タンザナイト。こちらでは、タンザナイトに関する知識、品質を決める要素について紹介しています。
かつては、12月の誕生石といえばターコイズとされてきましたが、2002年、米国宝石学会(GIA)の選定により、同じく12月の誕生石として新たにタンザナイトが加わりました。また、2021年になると、日本国内でもタンザナイトが12月の新しい誕生石として採用されました。
身に着ける人にとってのお守りのような存在であるとされる誕生石。タンザナイトは、落ち着いた雰囲気のある青紫色をしているので、ジュエリーとして身に着ける際にも、コーディネートをしやすい宝石です。
初めてタンザナイトが発見されたのは、遡ること半世紀以上前の1967年です。場所はアフリカのタンザニアという国の北部地域です。諸説ありますが、マサイの部族民によって、たまたま発見されたとも言われています。
ブルーサファイアと似ていたため、当初はサファイアの鉱床であると思われました。しかし、調査の結果から、実際には青く変化したゾイサイトであることが判明したのです。タンザナイトとは、つまりブルーゾイサイトだったのです。
タンザナイトが採取されているのは、キリマンジャロ山の麓にあるメレラニ鉱山です。地中100メートルを超える深さまで掘削を進め、採取をおこなっています。
タンザナイトは、多色性のある宝石です。基本的には青紫ですが、違う角度から見ると、色が強くなったり無色透明になったりするのが特徴です。多色性という性質を活かしたカット方法により、青色~青味がかった紫色まで、色味に豊富なバリエーションを出すことが可能です。
色味は、タンザナイトの品質を左右する大切な要素のひとつです。特に美しいとされるのは、はっきりとした紫がかかった青に伴い、内側から光る多色性の赤色が見えるタンザナイトです。青色・藍色・赤色の融合色を楽しむことができる状態です。
ほかの多くのカラーストーンにも共通して言えることですが、このように彩度が高い物のほうが、淡い色味の物よりも査定価格が高くなる傾向があります。「青紫が濃い」「多色性が強い」などが、査定で高値がつく主なポイントです。多色性が強すぎる点がマイナス要素になるといわれる場合もありますが、近年では多色性が強いタンザナイトへの需要も強まっています。
マサイの部族民によって最初に発見されたと言われるタンザナイトは、天然のブルーゾイサイトでしたが、実はとても珍しい状態だったのです。基本的には褐色のゾイサイトであるため、青紫になっているのは、商品化する際におこなわれる熱処理による変色の結果なのです。熱処理をほどこすと、多色性引き出すことができるのです。
市場に出ているタンザナイトのほとんどは熱処理済みなので、査定も、その前提で行われます。また、宝石学研究所であっても、タンザナイトに熱処理がほどこされているか否かを見極めることはとても難しいというのが実情です。
クラリティ、つまり透明度が高いほうが、品質が高いと判断されます。しかし、ジュエリー用タンザナイトのほとんどは、拡大して見ると微細なインクルージョンが入っています。インクルージョンの大きさが、肉眼でしっかり見えるほどであると、査定価格は下がりやすい傾向にあります。さらに、耐久性が低下するフラクチャーなどの問題を引き起こすおそれのあるインクルージョンの場合は、さらに価格が低下します。
カッティングの仕方によって、色味は大きく左右されます。異なる結晶方向から見える色が異なる色を示す「多色性」という性質があるので、カットする方向によって、タンザナイトを正面から見た場合の全体の色味が決まります。
職人がタンザナイトをカットする際には、現実的な観点をもってカット方法を検討するケースが多くみられます。つまり、経済性を重視するわけです。重量減をできるだけ抑えつつカットできる方法を選びます。基本的には、すみれ色~紫色を強調するようにカットしていくと、ロスが少なくなります。
市場に出ているタンザナイトは、サイズ・形状・デザインなどにおいて、ラインナップが豊富です。タンザナイトのなかでも、特に高品質であるとされる濃い色味のものは、5カラット以上の石に見られる場合が多いです。